その不動産購入ちょっと待った!消費税増税前に買うべきなの? ~増税前の駆け込み需要と価格の関係~

2018年7月25日

消費税増税と価格の関係

2020年東京オリンピックの開催も決まり、
2014年4月の消費税8%への値上げの条件はそろってきた。
恐らく、「増税」と判断するだろう。

増税するのがいいのか、しない方が良いのかという議論は経済学者に任せておいて、
このブログでは、
「住宅を購入するのに消費税増税前に買うべきかどうか」という点について述べる。

効率的市場仮説

まず、最初に知ってほしいのは、
こういう議論をする際に必ず必要となる基礎理論についてである。
それは「効率的市場仮説」というものである。
これは、「市場においては価格は現時点で知られているすべての情報を織り込んだものとなっている」という仮説である。

つまり、不動産価格は消費税増税を織り込んだ価格となっているということである。
もちろん、不動産市場が効率的かどうかという議論はあろう。
不動産市場は非常に複雑な情報に基いて価格が決定されているため、
恐らく、ありとあらゆる情報を織り込んだ価格となっているわけではあるまい。

しかし、「消費税増税」という情報は非常に広く知られ、またその影響も非常に明確である。
そのため、「消費税増税」という情報はすでに現時点での価格に反映されていると考えて構わないだろう。
※これには「安倍総理が増税と判断する可能性」等も含めて織り込まれていると考える。

消費税増税と不動産価格

ここから先は議論を簡単にするため、「消費税増税」がすでに決定されているものとして考えよう。

さて、では、消費税増税前後の不動産価格はどうなるのだろうか。

ある人が、来年くらいに住宅購入を検討していたとしよう。
その人は消費税増税が4月に行われることを知っているので、
増税前に買っておいた方が得だと判断するだろう。
しかし、そういう人が多くいれば、増税前に売り出されている不動産には申し込みが殺到する。

不動産業者の立場から見ると

そのような状況は不動産屋にも容易に予想できる。
そのため、不動産屋としては「売り出し価格を高めに設定しよう。」と考えるのが普通である。
あまりに申し込みが殺到してもさばききれないし、多少高くしても売れるだろうと考えるからである。

購入者の立場から見ると

一方で、そのような対応を不動産屋がしてくるということは、購入者としても十分予測できる。
そのため、
価格が消費税増税による増額よりも高くなっていると考えれば、住宅購入を急がないし、
消費税増税による増額より安いと考えれば、増税前に購入する。

個々の購入者としてはその判断はなかなか難しいが、
多数の購入者がそれぞれ自分の思惑で効率的に行動すると仮定すれば、
増税前の住宅の価格は、消費税増税によって増額された金額とほぼ一致するはずである。

つまり、もし、「市場が効率的である」とすれば、
増税前後ではどちらで買う方が得ということはない。

ただ、増税前後で消費者に同じ価格に見えるように金額を設定したとすると、
不動産業者としては増税後に売ったほうが利益が小さくなる。
そのことを考慮すると増税前のほうが多少安くなると考えられるが、
増税分よりはるかに小さな額であるということは認識しておくべきだ。

もし市場が効率的でなかった場合には

では、何も考える必要がないのかというとそうでもない。
この結論は、「もし市場が効率的であれば」という前提付きだからである。
効率的でないとすればどのような理由によってだろうか。

最もありうる「非効率さ」は、
「増税されたあとに購入すると損だから今買ったほうがいい」と、思い込んだ購入者が
多少値段が上がっていても構わず購入するという行動が多くみられることである。

消費者の無知が招く価格差

日本では経済学の教育があまり積極的に行われていないせいか、
「効率的市場仮説」を踏まえて行動するという人が非常に少ない。
そのため、おそらく、増税前の方が増税後の税込み価格より高くなる可能性が高い。

価格は政策では決まらない!決めるのは市場である。

住宅購入を検討している方々、
是非「消費税が増税される分だけ高くなる」と単純に考えず、
その情報によって人々がどう動くのかということについても考えたうえで、
住宅購入を決断していただきたい。

ちなみに、不動産以外の商品の価格がどうなるかというと、
不動産以外の場合、商品の鮮度や在庫の関係があるため、
不動産のように単純な値動きはしないと考えられる。
それらについてはまた記事を改めようと思う。

住宅購入時に知っておくべきこと

ところで、
住宅購入の際には様々な勉強をしてから臨んだ方が良い。

・住宅ローンについて
・税金(住宅ローン控除)について
・将来賃貸に回す場合にはどうすればいいか、どうなるのか

無料セミナーなどもあるので、ぜひ勉強していただきたい。

独身女性の方であればこのサイトなどは結構勉強になるのではないかと思う。→女性のためのかしこいマンション購入術講座

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